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【刀ステ感想】舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-と向き合ってみた感想・レポ

2部作での新作発表や、まだ原作ゲームでも登場したばかりの太閤左文字の出演など…追加発表が行われる度にSNSを賑わせていた舞台『刀剣乱舞』。

先日、舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣- を観劇しにIHIステージアラウンド東京へ行って参りました!

私が観劇した日は、タイトルの通り”蒼空”で思わず劇場パネルと一緒に空を記念撮影…。

皆さんもお天気が良い日に観劇されたら是非、劇場パネルや推しのブロマイド・アクリルキーホルダー等と記念撮影されてみてくださいね♡

今回はそんな刀ステ、天伝 大坂冬の陣を観た感想をお伝えしていこうと思います♡

できる限りネタバレはしない方向で書いてはいきますが、「観劇前には一切の情報を遮断したい!」という方はここで一旦読むのは中断し、観劇後に是非ご一読くださればと思います。

また、感想には過去の刀ステシリーズも含まれます。

管理人

今回の感想は、あくまで管理人個人の感想です。

天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-を観る前に

物語について触れる前に、刀ステの原作となっている「刀剣乱舞」について少しご紹介を。

原作の「刀剣乱舞-ONLINE-」はイケメンに擬人化された日本刀を育成する、育成シュミレーションゲームです。


ゲーム開始直後、プレイヤーは最初に本丸に迎え入れる刀剣男士を「加洲清光・歌仙兼定・陸奥守吉行・山姥切国広・蜂須賀虎徹」の始まりの5振から選ぶ事が出来ます。

刀ステはこれまでにも何作もの上演を行っており、直近の綺伝、維伝はそれぞれこの中の歌仙兼定、陸奥守吉行がメインのストーリー。

刀ステシリーズの第一章も山姥切国広がメインとなっており、蜂須賀虎徹・加州清光の二振は未登場でした。

同じ刀剣乱舞を原作とした2.5次元舞台は二種類あり、ミュージカル版の刀ミュでは初演から佐藤流司さんが加州清光を務めています。

長年「ステの加州はどうなるんだろう」とファンの間では話題になっていたこともあり、松田凌さんが加州清光を演じるとの発表はTwitterのトレンドにも関連ワードが入ったほどでした。

劇場へ足を運ぶ際は

さて、そんなテンション上がっている状態でしたが、事前にきちんと自宅で平熱であるかどうかを確認し、公式サイトにある「ご来場者様登録フォーラム」にも登録を行います。

管理人

観劇後でも登録が可能とのことですので、観劇前に時間がなかったり、お忘れの方でも焦らずにゆっくり観劇された後にでも登録をされてくださいね♡
参考 新型コロナウイルス感染拡大防止に関しての取り組みとお客様へのお願い舞台『刀剣乱舞』公式サイト

慶長十九年の大坂

早速ですがストーリーについてから触れていこうと思います。

先ほども書きましたが、「観劇前には一切の情報を遮断したい!」という方はここで一旦閉じてくださいね。

慶長十九年、大坂。
方広寺鐘銘事件を発端に、豊臣と徳川の衝突は避けられないものとなっていた。
戦国時代最後の戦いとなる大坂の陣が目前に迫る時代に、本丸より出陣した六振。
引用:舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣- あらすじ

あらすじから抜粋しますと、慶長十九年の大坂、今の時代で言う豊臣軍と徳川軍による戦国最後の戦い「大坂夏の陣」の目前が舞台となっています。

徳川陣営を偵察する一期一振・骨喰藤四郎・鯰尾藤四郎。

鯰尾が怪しげな少年を発見するところからストーリーが始まります。

一方、豊臣陣営を偵察する山姥切国広・加州清光・宗三左文字。

真田丸に潜入捜査をしていると、以前小田原にて戦った男とまさかの再会を果たします。

「今は豊臣秀頼に仕えている」とは言うものの、不穏な気配を察知。成り行きで伝達に来た一期と宗三が秀頼達を護衛することとなるが…。

あらすじからも分かる通り、相変わらず「刀ステあるある」な不穏な空気が漂います。

ですがあくまでも個人的な感想で言うと、初期の刀ステらしさがある作品だな、と感じました。

刀ステにおける歴史上の人物

刀ミュと刀ステの違いとして一つ、歴史上の人物の描き方が挙げられます。

刀ミュは割と時間遡行軍が歴史改編に成功していること。

加えて刀剣男士達が歴史上の人物に成り代わったり歴史上の人物達と関わっていることが描かれており、尚且つ歴史上の人物達は出会った刀剣男士達のことを忘れることなく記憶している節があります。

対する刀ステでは、出会った歴史上の人物達は、刀剣男士達がその歴史を離れると刀剣男士達との記憶も消されると今回改めて明かされました。

例外を挙げるとすると、前作である科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』改変いくさ世の徒花の記憶で放棄された世界にいた山浦徹さん演じる黒田孝高。
黒田孝高が別の時間軸である、正史のジョ伝にいる黒田官兵衛の記憶を共有していたことくらいかと思います。

その例外のことを考えると、もしかすると「放棄された世界では本来のシステムが正常に機能していないが故にそういった齟齬が生まれやすい」のかもしれないと考えられます。
改めて上演されることが決まっている本来の綺伝。今から楽しみになるような設定を、先取りで知れたようで嬉しいですね♪

刀ステにおけるキャスト変更の意味

今回のメインは、キービジュアルからもお分かりの通り本田礼生さん演じる一期一振。

刀ステの一期一振は既に登場しており、初演と再演の虚伝では廣瀬大介さんが演じられておられました。

刀ステのキャスト変更は他の作品とは理由が違うということは、既にこれまでのシリーズで予習なさっている方も多いことかと思います。

キャスト変更と言うと、やむを得ない事情で前作品と違うキャストさんがキャラクターを演じる…というイメージではないでしょうか。

刀ステでは、単に「演じている方が違う」という解釈ではなく、ゲーム同様1つの本丸に複数同じキャラクターが存在しているのではないかと推測できる部分があります。

その説が有効であるとした上での今回の大坂2部作。

今回の大坂2部作も天伝 冬の陣・无伝 夏の陣では共通して骨喰藤四郎が出演しますが、天伝 冬の陣では北川尚弥さんが、夏の陣では三津谷亮さんが演じられることが既に発表されています。

同様に、その説が有効であるとした上での一期一振。つまりあの本能寺の変を一度も経験していない一期一振ということになります。

刀ステシリーズで重要となってくる円環。

虚伝が初演と再演で若干内容が異なっているのは「三日月宗近が体験している円環」であり、結果は毎回一緒だけれども少しずつその過程に違いがあるから…だと考えると、あえて虚伝を二度上演しているにも関わらず、どちらも一期一振役を演じているのが廣瀬さんであるということにも理由があると考えられます。

まだ明かされていない円環の中でもしかすると実は経験しているのかもしれませんが、現段階の刀ステシリーズを踏まえると本田さん演じる一期一振は本能寺を経験していないということが考えられます。

一期一振という刀

今回の物語で重要となってくる一期一振。今や90振を超える刀剣男士が登場している原作の刀剣乱舞-ONLINE-ですが、一期一振はその中でも一番初期から実装されている刀剣男士です。

刀ステの物語の感想を書く前に少し、題材とされる日本刀の一期一振についてご紹介させていただきます。

一期一振は短刀作りの名手で知られる粟田口吉光による太刀であり、その中でも最高峰の太刀とされその名が冠されました。

豊臣秀吉の愛刀とされ、今回の2部作でも登場する骨喰藤四郎、鯰尾藤四郎、宗三左文字らと共に保管されていたとされています。

大阪の陣にて焼失し、その際に再刃(焼き直し)されました。原作ゲームの刀剣乱舞-ONLINE-でも、炎にまつわるセリフが垣間見えます。

複雑な関係性の先に

今回の刀ステ天伝 冬の陣では、織田信長自身は実体として出てはこないものの、やはり戦国武将の中でも群を抜いて才覚を現していた存在ということもありストーリーでも度々触れられています。

また一期一振が護衛することとなった秀頼は、正にその織田信長の死後天下人となった豊臣秀吉の息子です。

出来すぎた父親を持ち、これまでの戦国武将とは違い血を流して戦うことなく「生まれながらに準備された天下」という立場に深い葛藤を見せる秀頼。

燃えて一部記憶が抜けている一期一振ですが、豊臣家とは深い絆があることからも秀吉の想いを抱えつつ、完全な記憶を持っていないが故の漠然とした葛藤があり、そこが秀頼とリンクしていたのかもしれません。

だからこそ作中での秀頼の問いにも、取り繕えばいいものの、素直に答えてしまった。

前述した通り時代を離れると共に刀剣男士達の記憶は消えてしまいますが、今後起こりうる歴史を知っている者達があまりに関わりを持ってしまうと、その後の歴史が変わる恐れがあります。

ところがその危険性を知っている上で秀頼へ真実を告げた一期は、葛藤はあるものの秀頼に対する信頼があったのではないかと思います。

二人の歴史上人物

そしてそんな秀頼と共に今回の作品でキーパーソンとなっている歴史上の人物が、鈴木裕樹さん演じる真田信繁です。

真田幸村の名でも知られ、現代では『真田十勇士』や『真田丸』などの関連作品でもでよく知られている人物でもあります。

先ほどの秀頼と同様、所謂「出来すぎた父親を持ってしまった者」でもあります。

ですが、二人には決定的な違いがあります。

秀頼にはそんな葛藤の中でも恵まれた立場があり、更には信頼でき支えてくれる臣下がいました。

対する信繁は、刀ステの中ではそのような人物は描かれていません。

似たような境遇にある者同士にも関わらず結末がはっきりと分かれてしまったのは、その違いなのではないかと思います。

日南田顕久さん演じる弥助達につけ込まれてしまったのも、そういった心の隙間がわかりやすかったからなのかもしれません…。

秀頼と信繁が度々口にしていたとあるワード。

戦国の世に武将として生まれた2人はどうにかして偉大な戦国武将である父親のように戦で武功をあげたかった。そしてそんな自分を世に知らしめ「父親を超えたのだ」もしくは今は亡き父親に「認めてもらいたかった」のかもしれませんね…。

その悲痛なエゴが現実してしまった今回の物語。本来はあるはずのない、起こるはずのないことが勃発してしまい、もし自宅で見ていたのであればそれこそ天を仰いでいたくらいでした。

魅力溢れる登場人物

以前綺伝の感想記事でも書いた通り、刀ステと言えば魅力あふれる俳優さんたちも注目のひとつかと思います。

一期一振 本田礼生さん

一期一振

先ほども触れましたが、刀ステ本丸では2振目の一期一振ということになります。

本田さんはこれまでのご出演作からも、元々の運動神経の高さというか、ポテンシャルの高さがかなり突き抜けておられる方の印象を受けていました。

これまで出演された作品には殺陣をメインとした作品はあまり多くはない印象でしたが、なんの違和感もなく観ることができました。

今作では初出演の初主演ということで、その重責はかなりのものであったと予測されます。

原作である「刀剣乱舞」での一期一振ログイン台詞ともなっており、今回本田さんも口にされている豊臣秀吉の辞世の句。

露と落ち露と消えにし我が身かな 浪速のことも夢のまた夢

豊臣秀吉と言えばご存じの通り、数多いる戦国武将の中でも3本の指に入る有名人です。

しかし織田信長や徳川家康のように生粋の武家生まれ武家育ち…という恵まれた立場というわけではなく、足軽からのよく言えば生え抜き、言い方によっては成り上がりによって天下人となったことでも知られています。

つまりはいくら武功を挙げ太閤殿下と呼ばれるようになっても疎まれることはあり、そんな立場になっても自分が死にゆく時は何も持たず身一つである…という事実に改めて気が付いたとも読めます。

秀吉あっての豊臣家も、自分が死んでしまえばその権力も武力も家臣達との関係も消え失せ、残るはただ1人秀頼だけ。

実際に刀ステのストーリーの中でも触れられていますが、秀吉は亡くなる直前に自身の家臣達を集め、跡取りである当時まだ幼かった秀頼の行く末を案じその想いを託したとも言われています。

一期一振が豊臣家に伝来した説は複数ありますが、そのどれもが秀吉が恋い焦がれて手にしたというような内容であり、秀吉が一期一振に対し並々ならぬ強い想いが込められていたことがよくわかります。

鯰尾藤四郎 前嶋曜さん

鯰尾藤四郎

鯰尾藤四郎役の前嶋曜さんはこれまで2.5次元舞台の経験があまりなく、かなりの大抜擢とキャスト発表時から話題になっていましたね。

鯰尾と言えばこれまで虚伝と映画版にて杉江大志さんが演じられていたことでも知られています。

殺陣はあまり慣れていない感じはしましたが、鯰尾らしい無邪気っぷりがよく伝わってくる可愛らしさは健在でした♡

その中でも今回特に注目したのは一期一振との掛け合い。

観ている時にもの凄くデジャヴだったのですが、虚伝でも同じ会話をしていたことを思い出しました。

とは言え、先ほどからも触れている通り虚伝では一期一振役を廣瀬大介さんが、鯰尾藤四郎役を杉江大志さんがつとめています。しかもあれは確か遠征で第二部隊が大坂冬の陣へ行っていた時に交わされたものです。

別の個体ではあるものの同じ刀剣男士達が、同じ場所同じ時代で同じ会話をしている…そのことに深い意味を感じずにはいられませんでした。

一期一振の台詞もまるで初めて鯰尾に言い聞かせるようで思わずぞわっとしました。

骨喰藤四郎 北川尚弥さん

骨喰藤四郎

骨喰藤四郎役の北川尚弥さんは慈伝ぶりの出演、メインキャストとしてはジョ伝ぶりの出演です。

骨喰は天伝 冬の陣・无伝 夏の陣どちらにも出演するキャラクターということで発表時から注目していましたが、今作ではこれといって重要な役どころを担っているようには見えなかったところが逆に気になりもしました。

刀ステシリーズで鯰尾と骨喰が共に出演するのは今作が初めてということで、そのコンビ感というか、無邪気な鯰尾と淡泊な骨喰のコントラストがよく浮き彫りになっていて面白さが際立っていました。

また、ジョ伝では顕現したばかりでレベルが低かったことと、武子直輝さん演じる同田貫正国が骨喰を守るような動きが多かった印象ですが、今作ではジョ伝以上にかなりレベルアップした姿を観ることができました。

また、兄弟達に囲まれて今まで観られなかった骨喰の姿が観られたような気もしました。

宗三左文字 佐々木喜英さん

宗三左文字

宗三左文字役の佐々木喜英さんは虚伝ぶりということで、およそ4年ぶりということになりますがそのビジュアルや美貌は衰えることなくむしろパワーアップしているのでは?!とただただ驚かされました。

これまで左文字と言えば、輝馬さんや瀬戸祐介さん演じる江雪左文字と納谷健さん演じる小夜左文字の3振でした。

この3振の関係性と言えば正に兄弟というか、江雪・宗三の二振が小夜を慈しみ守る…という挙動が目立ちましたが、今回新たに登場した北乃颯希さん演じる太閤左文字はこれまでの兄弟感とはまた違った関係性が見て取れました。

宗三にとって、小夜のことは守らねばいけない対象とし、太閤のことは見守っている存在とでも言いましょうか。

大人しい弟とやんちゃな弟ということで、兄としての対応も変わるのかもしれませんね♪

2振が話している時の宗三の眼差しは要注目です♡

また、今回出陣している刀剣男士達の中では唯一のお着物ということにも注目。

太閤も和装かもしれませんが、厳密に言うとショートパンツを着用していることもあり、機動力を見ると圧倒的に宗三は分が悪いかと思います。

そんな中での佐々木さんの殺陣の艶やかさは、圧巻です…!

加州清光 松田凌さん

加州清光

冒頭でも触れましたが満を持してという言葉がまさにぴったりの、刀ステでの初登場である松田凌さん演じる加州清光!!

刀ミュでの圧倒的な人気故、「刀ステでは登場しないのでは…?」とSNSではささやかれていた時もありましたが、佐藤さんとはまた違う魅力を発揮してくださりもはや感謝しかありません。

劇中の台詞でも「始まりの刀」と表現されていますが、初期刀として加州を選ばれている方にとっては思い入れもひとしおとなりますよね。

また、加州と言えば刀ステでは虚伝にて名前だけは登場していたことはご存じでしょうか?

日替わりではありましたが、遠征から帰ってきた荒牧慶彦さん演じる山姥切国広が主の元へ来た際、鈴木拡樹さん演じる三日月宗近に「遠征から戻ったらこちらに来るようにと加州清光から伝達を受けた」と口にしていたシーンが円盤化されていました。

今回、加州と山姥切が2振で行動する際の会話から察するに刀ステ本丸では加州は割と初期からいた可能性は大きいかと思います。

だからこそ、戦闘シーンでは互いの背中を預け合い、山姥切の決断にも即答で応えていたのでしょう。

ジョ伝を踏まえて考えると、かなりの信頼が築けている様子がうかがえます。

ただ維伝のパンフレットにこれまで出演した刀剣男士達の名前がズラッと羅列されており、それは顕現した順番なのでは?と言われていましたがその中に加州がおらず、更にはOPでの話も解釈が少し気になります。

悲伝の際に玉城裕規さん演じる小烏丸が口にしていた不穏なセリフから予測すると、もしや円環の中で顕現している刀剣男士が若干違うのか…?とも考えられますが、刀ステあるあるなもっと不穏な設定が今後出てこないことを祈るばかりです…。

とりあえず言えることは、爪の色を度々気にしている素振りは最高でした。

そして出陣している刀剣男士達の中で1番この先の未来をよく知っている加州と、この時代の覇王でもある松村雄基さん演じる徳川家康との命のやり取りは目を奪われるものがありました。

太閤左文字 北乃颯希さん

太閤左文字

毎度新刀剣男士が登場しますがこれまた身体能力が高く、そしてこれまでにないくらいハイテンションな太閤左文字役の北乃颯希さん。

登場時若干の不穏さはありましたが、そんなもの吹き飛ばすくらい正に晴天のような役どころです。

他の6振とは違い、単身でこの時間軸へやって来た太閤はとにかく自由。

慈伝以降の時間軸からやって来たとのことですが、自ら望んで今回この時間軸へやって来た…というよりは「己の在り方について問うていた流れでたまたまやって来ている」と思わせる節がありました。

その割に帰り方はしっかりと知っているのに己の意思で残っていたところから考察しても、楽観主義者のように見えて本当に自身について悩み、その悩みの真髄を知るために今回この時間軸へ誘われたのではないかと考えられます。

本来のキャラクター性をさておき、唐突に始まる”太閤左文字劇場”での歴史上の人物の活き活きとした表情は必見です!

また、タイトルにもなっている「天伝」。

これは太閤がいたからこそのタイトルであり、太閤がいたからこそ小松準弥さん演じる秀頼は自信を保つことができ、一期も救われた。

そう考えると敢えてこの作品に太閤を選んだ演出の末満さんには感服です。

山姥切国広 荒牧慶彦さん

山姥切国広

刀ステを語る上では外せない存在の、荒牧慶彦さん演じる山姥切国広。

ステージ上に荒牧さんがおられるだけで安心感があるというか…感謝ですね。

加州と共にはぐれてしまった際、骨喰からも信頼の言葉が聞かれました。

同じ部隊の刀剣男士達にもそう思われているのはやはり、ジョ伝で改めて小田原を乗り越えたからこそかもしれません。

日南田顕久さん演じる弥助との戦いはもう手に汗握るというか…ジョ伝の記憶も蘇ってきて本当に辛いものがありました。

今回の弥助の企みに対し、自身達の持つ「逸話」についてかなりの執着を見せた山姥切。

そもそも逸話とは?と思い辞書をめくったところ、日本国語大辞典には下記のように解釈が書かれていました。

逸話:
世間や世人にあまり知られていない興味深い話、世人から逸した(逃れた)話

ところがこの刀ステにおいての逸話は「人から人へ長い年月をかけて語り継がれたもの」という解釈がとられています。

もしや弥助達は前者の解釈を持ってして逸話たり得ると考え、そして今回の計画を練ったのではないかとも考えられます。

仮に前者の解釈であれば今回のような結末にはならなかったと思いますし、刀剣男士達の解釈も、そうであればもう少し作戦が変わったのではないかと思います。

山姥切があそこまでの怒りを見せたのは、弥助のあの作戦故なのかもしれません。

そしてもう1つ山姥切が強い反応を見せた「史実」と「諸説」。

史実とは歴史上の事実、諸説は色々な説・意見や噂を表します。

諸説は史実があった上で発生するものであり、決して諸説が史実になることはないのです。

諸説には諸説のロマンがありますが、史実とすり替えることはできません。

”史実通りに生きるが故に大切なものを失う”弥助からの問いに対し答えた言葉は、この後に起こる悲伝のことを思うと涙無しには見られないシーンでもありました…。

舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-と向き合ってみて

ここまであらすじやキャストさんの感想をまとめてきましたが、どのキャストさんにもそれぞれの良さがあり、どのエピソードも捨てがたいものばかりで語りきれません…。

父親と同じやり方で父親を超えたかった小松さんの秀頼、父親とは違うやり方で父親を超えたかった鈴木さん演じる信繁、そして自分のやり方で信長を超えたかった家康。

それぞれが放つキーワードは、同じ言葉なのにそれぞれ違う方向に向けた想いが込められており、聞いていて切なさすらありました。

結局、史実から見ると誰も「間に合わなかった」のですから。

映像や音声で過去のキャストさん達のことも思い起こされたり、ここでこのキャストさんが?なんていう驚きも満載でした。

今回の公演は刀ステ史上初のIHIステージアラウンド東京。日本で唯一、360度回転する円形劇場です。

中央にある客席が360度回転することで、場面の展開やより強い迫力を演出することができるような造りになっています。

正直1幕だけの感想はこの劇場でやる意義に疑問を抱いてしまったのですが、対する2幕では劇場の全ての機能を遺憾なく使い切っており、視界の範囲が足りない…!と焦るほどでした。

管理人

人によっては酔うこともあるそうですので不安な方は事前に酔い止めを服用しておくことをおすすめいたします。

タイトルの「天伝」にあるようにラストは爽やかな晴天が映し出され、とても爽やかに終わった…ように見えますけど全然そんなことはなく。

无伝 夏の陣への布石がありすぎて、心が苦しい相変わらずな刀ステ。

无伝はこの刀ステシリーズの中の一体どこに位置する物語なのか。

今作の面白さはもちろんのこと、次回作のことが気になりすぎる、そんな作品でした!

【刀ステ感想】科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』改変 いくさ世の徒花の記憶 の世界を味わってみて

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